お寺の屋根とお家の屋根では角度が違う?!
三角屋根の角度をみくらべる事って少ないですよね。屋根は建物によって色々な角度が存在します。とんがっている屋根、なだらかな屋根、最近では平べったい屋根もあります。
そもそもなぜ屋根に角度がついているのでしょうか。その理由は、簡単にいうと傾斜をつけることにとって雨などを逃がすためです。
この傾斜の度合いを勾配といいます。実はこの勾配には役割があり、傾斜角度によってそれぞれにメリット・デメリットがあるのです。
屋根の勾配を数値化したものを勾配数といいます。水平方向水平距離10寸(≒30cm)に対しての高さで求めます。ふつうの屋根は4.5寸勾配くらいです。この場合、軒先の角度は45度ですね。
お寺は急勾配。その特徴は?
勾配が急になるほど、屋根の面積は広くなります。屋根の勾配が急になると、その分、屋根は長くなりますので、面積が広くなるということです。
面積が広ければ広いほど、屋根材もたくさん使いますので葺き替え工事などの際、コスト面だけを考えると、勾配と面積は非常に重要なポイントになります。
■勾配数によって、使える屋根材が異なる
実は、勾配数によって使用できる屋根材が変わるのです。例えば瓦屋根の場合だと、瓦を重ねていく都合上、最終的に勾配が緩くなりますので、4寸以上が必要です。
このようにそれぞれの屋根材に設けられている基準があります。基準以下にしてしまうと、雨漏りなどのリスクが高まります。
■急勾配の特徴
6寸勾配以上の勾配を指し、お寺などによくみられます。
一番の特徴は角度がある分、雨が屋根に溜まりにくく、雨漏りをしにくいという点です。ただし、傾斜が急な分だけコスト面での負荷が懸念されます。
【急勾配のメリット】
●雨漏りのリスクが減る
●デザイン性が高まる
●屋根裏が広くなるので断熱効果が期待できる
【急勾配のデメリット】
●コストがかかる
●耐風性が劣る
民家は緩やかな勾配。その特徴は?
■並勾配の特徴
3寸~5寸程度の勾配を指します。
水はけ・デザイン性・コスト面など、あらゆる側面で問題点を満たしているため、多くの家庭で取り入れられているスタンダードな勾配です。
突出したデメリットがないのも特徴です。
【並勾配のメリット】
●雨漏りしにくい
●ほとんどの屋根材に適合している
●デザイン性を維持できる(景観にあった屋根)
■緩勾配の特徴
3寸勾配以下の勾配を指します。雨水が溜まりやすいなどマイナス面が目立つ反面、落雪防止などの観点から雪国などでは多く採用されています。
【緩勾配のデメリット】
●雨漏りのリスクが高まる (雨が屋根に留まりやすく、雨漏りの危険性が高まる)
●デザイン性が劣る (建物とのバランスが難しい)
●耐久性が低い (ホコリなどが付着しやすく、そこに雨が侵入して腐食を早める可能性がある)
●使用できる屋根材が限定される (金属系の瓦棒やガルバリウム鋼板に限られることが多い)
■まとめ
今まで全く気にも留めていなかったと思います屋根の角度。実は、「デザイン」「使用できる屋根材」「水はけ」「メンテナンス」といった様々な面につながっているのです。
設計前の方はもちろん、修繕をお考えの方もご自身の屋根勾配に適した工事が行われるよう、注意を払う必要がありますので、今後の参考にしてくださいね!